東京農業大学にある「食と農」の博物館に行ってきた。
元々は醸造酒について知るために行ったのだが,私が最も興味をもったのは,偶然開かれていた「バイオミメティクスを超えて!」という特別展示だった。
バイオミメティクス(生物模倣技術)とは,生物の優れた機能を真似ることでより良いモノをつくる手法のことだそうだ。
では「バイオミメティクスを超える」とはどういう意味だろうか。
素朴に捉えるならばミミック(模倣)を超えるということで,本物を超える,つまり基にした生物よりも優れたモノをつくるという意味だろうと思った。
しかし学芸員(の卵)の話を聞いていると,乾燥させたエチゼンクラゲをチップにして土壌の保水を図るという研究を指してバイオミメティクスを超えたと言った。
曰く,乾燥したエチゼンクラゲというものは自然由来であり,撒いた後は微生物に分解されて肥料としても機能して,資源の循環になるからだそうだ。
家に帰って展示案内の冊子を読んでみると,同じようなことが書いてあった。
つまり,これまでのバイオミメティクスは生物を真似つつもその実現には相変わらず化石燃料という枯渇する資源に頼っていたので,これからは資源についても循環するものを使っていこうという意味で「超える」と言っていたようだ。
「『ミメティクス』を超える」ではなく,そのまま「『(20世紀の)バイオミメティクス』を超える」という意味だった。
……いやしかし,「ミメティクスを超えたバイオミメティクス」というのも見てみたいと思う。